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お知らせ

養老保険を利用した個人所得税の節税プランに最高裁がNOの判決

投稿者:林 俊一札幌

お知らせ|2014年02月24日(月)

税理士 林 俊一のコラム (第10回)

この判決は、平成24年1月13日の判決ですが、注目を浴びた判決ですので、あらためて紹介させていただきます。

問題になった養老保険の概要です。
1.法人を契約者、役員を被保険者とする養老保険です。
2.保険の内容は、死亡保険金の受取人を法人、満期保険金の受取人を役員としていました。
3.法人は保険料の1/2を保険料として損金算入、1/2を役員への貸付金として経理処理していました。
4.満期保険金を受け取った役員は、一時所得の計算上、自ら負担した保険料の1/2だけでなく、法人が損金算入した保険料も控除して申告しました。

※一時所得の計算は次の算式で計算します。
一時所所得の金額=総収入金額(満期保険金のことです)-その収入を得るために支出した金額(支払った保険料をいいます)-一時所得の特別控除額(最高50万円)

以上のとおりですが、福岡地裁、福岡高裁では、保険料の金額を控除した納税者の主張を認めていました。a0002_001500.jpg
これに対し、最高裁は所得税法第34条の「収入を得るために支出した金額」に該当するためには、収入を得た個人において自ら負担したものといえる場合でなければならないと解するとして法人が保険料として処理した部分について、役員が満期保険金から控除することはできないとしました。

すなわち、役員への貸付金とした部分は、役員が負担した保険料といえるが、法人が死亡保険金に対応して保険料として経理した部分は役員個人の収入を得るために支出した金額ではないと判示しました。

なお、この裁判をきっかけに平成23年度税制改正で一時所得の計算上個人が受け取る満期保険金から控除できる保険料は給与課税が行われたものに限る旨が明確化されました。
節税プランには十分注意したいものです。

岩見沢事務所 所長 税理士 林 俊一

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