中野会計事務所トップページ >>  スタッフブログ  >> 自社株評価における会社規模の判定

スタッフブログ

自社株評価における会社規模の判定

投稿者:佐藤 孝之岩内

|2016年05月11日(水)

電卓images.jpg

 昨年、担当先のA社の会長様がお亡くなりになり相続税申告の依頼を受け、自社株の評価計算を行なっております。
 A社の直前期の売上高は13億円、総資産は11億円の建設業です。
 創業後50年間、堅実に利益の蓄積を重ねた結果、剰余金は8億円に達しております。
  取引相場のない株式の評価では、会社の規模の大小に応じて、「大会社」「中会社」「小会社」に区分して評価をします。

(詳細はこちらをご覧下さい。https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4638.htm)

 ちなみにA社のように剰余金の額が多額となっている場合、一株当たりの評価額は、「大会社」評価が圧倒的に低く計算されます。

会社規模の判定は、

  • 直前期末以前1年間の取引金額(売上高)
  • 直前期末の総資産価額(帳簿価額)
  • 直前期末以前1年間の従業員数によって判定します。

 ここで、私たちプロでも見落としがちになるのが、③直前期末以前1年間の従業員数です。A社の正規従業員数は39名ですが、雇用契約が1年に満たない季節労働者も在籍しております。

 取引相場のない株式の評価計算における従業員数の算定にあたっては、

 継続勤務従業員数+(非継続勤務従業員の労働時間の合計÷1800時間)とされております。

 つまり非継続勤務従業員は年間1,800時間で1人としてカウントしてかまわないことになっております。A社から季節労働者全員の賃金台帳をお借りし、1年間の労働時間を集計したところ、従業員数は50人超となり、会社規模は「大会社」と区分され、一株当たりの評価額は中会社の1/2以下という結果になりました。
 何事も先入観にとらわれず、丁寧な事実関係の把握が正しい申告につながることを改めて理解したところです。

  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加