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専従者給与と専従者控除

投稿者:柏樹 正一倶知安

|2016年06月13日(月)

                           税理士 柏樹 正一のコラム(第7回)

 生計を一にしている親族が個人事業に従事している場合、事業主がこれらの人に給与を支払っても原則的には必要経費になりませんが、配偶者や15歳以上の親族でその年を通じて6か月を超える期間その事業に専ら従事している場合、これらの人に支払う給与については、青色申告者と白色申告者に区別して次のよう必要経費に算入できます。

給与袋.png

 ただ、この場合、事業主の配偶者控除又は扶養控除の適用を受けることはできません。

       ● 青色申告者の専従者給与

 事業に専ら従事する者の氏名、職務の内容、労務の対価として相当と認められる給与の額及び支給期などを記載した「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、届出書の範囲内で支払われた金額を必要経費とすることができます。

● 白色申告者の事業専従者控除

 事業主の配偶者は86万円、配偶者以外の親族は50万円(事業専従者控除前の事業所得金額等を専従者の数に1を足した数で割った金額がこれらの金額を下回る場合は、その金額)を必要経費とすることができます。

 専従者給与と専従者控除は、専従者給与は労務の対価として相当な支給額が必要経費となるのに対して、専従者控除は支給額や労務の対価の相当性にかかわらず必要経費が一定額にとどまるという、いわば擬制・フィクションの額である点が異なります。

 なお、労務の対価として相当と認められる金額を超える部分の金額については、贈与の問題が生じますが、例えば、白色申告者の専従者である長男に、労務の対価として相当な200万円の給与を支給した場合、税務上は50万円の専従者控除しか必要経費に算入することができませんが、差額の150万円は、あくまでも税法上のテクニックとして否認するもので私法上の労務の対価としての価値が否定されるものではありませんので、贈与とはなりません。

                         札幌事務所 副所長 税理士 柏樹 正一

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