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<第33回>点数をつけるビジネスモデル

|2018年07月18日(水)

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AI時代の新規事業
 
 やがて到来する
 不透明なAI時代に
 わくわくするような
 ビジネスモデルを
 考えるメールマガジン
 
 
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昨年アマゾンに買収された
高級グルメスーパーの
全米チェーンの1つ
ホールフーズ・マーケット。
 
その野菜売場の店頭では
数字の書かれたタグが
1つではなく2つ
置かれていることが
あります。
 
そのうち1つは、
むろん値札です。
 
もう1つは
「その野菜の健康効果を
 1000点満点で
 点数化したもの」
が書かれています。
 
たとえば
* ケール…1000点(満点)
* チンゲンサイ…865点
* ハクサイ… 714点
* ホウレンソウ…707点
* レタス…585点
* バジル…518点
といった具合です。
 
この点数は
適当につけたのではなく、
 
野菜それぞれの
栄養価を測定したうえで、
ホールフーズ・マーケットが
独自に開発した
「ANDI」
と呼ばれる計算式により
算出されています。
 
 ▽
 
アメリカでは、この、
 
「食品に点数をつけて
 販売する」
 
というマーケティングが
人気のようです。
 
食品が持つ
 
* カロリーの大小
 
* 各種栄養素の量
 
* 食品添加物などの
 邪魔な要素の量
 
などを測定して
総合的に
1つの数値にまとめ、
買物の指標として
提供するものです。
 
 健康に良いものを
 食べたい
 
 健康に悪いものは
 食べたくない
 
 どの食品が体に良いのか
 どの食品が体に悪いのか
 店頭ですぐに知りたい
 
 ややこしい栄養素や
 食品添加物の
 知識がなくても、
 簡単に選びたい
 
そんな買物客の要望に
応えようとしたものだとも
言えます。
 
点数がついていたら
選びやすいですからね。
 
 ▽
 
点数表示の
駆け出しとなったのは
アメリカの農務省が
今から四半世紀ほど前に
「ORAC」
という点数表示の手法を
公式に推奨したことでした。
 
食品が持つ抗酸化力を
数値化する手法です。
 
この手法は
一世を風靡し、
 
10年ほど前までは
多くの食品メーカーが
自社商品の
「ORAC値」を測定し、
その数値を
パッケージに記載して
売上増を図ったものでした。
 
現在はこの ORAC は
流行が去ったというべきか、
あまり活用されて
いませんが、
 
その代わり、他にも
食品に点数をつける
さまざまな方法が
考え出されています。
 
いくつか事例を紹介します。
 
 ▽
 
専門家の評価が高い
点数方法の1つ
「ONQI」。
 
読み方は筆者の不勉強で
よく分かりませんが、
おそらく特に凝らずに、
「オーエヌキューアイ」
と読めばよさそうです。
 
この点数方法は
科学者や医師・栄養士
などが集まって
学会のようなものを作り、
学術的なプログラムとして
進められています。
 
ただしこれは
専門家ウケが良い反面、
あまり普及していません。
 
 ▽
 
「ニューバリューシステム
 (NuVal System)」。
 
全米予防医学会が
監修している点数方法。
 
スーパーマーケットに
導入されているだけでなく、
 
学校のカフェテリアでも
採用されており、
 
全米でもっとも普及している
システムの1つです。
 
アメリカの学校では
日本のような
「教室で食べる給食」
ではなく
「校内に設置されている
 カフェテリアに行き、
 好きなメニューを選ぶ」
のが一般的です。
 
カフェテリアで
メニューに ONQI の点数を
表示することで
生徒が健康的なメニューを
自ら選ぶようになることが
期待されているわけです。
 
 ▽
 
米国農務省が推奨したのが
ORAC 方式で、
 
学会によって
進められているのが
ONQI や NuVal System。
 
いずれも
「民間のビジネス」
ではありません。
 
これに対し、
 
 食品の点数化を本業とする
 民間のベンチャー企業
 
が誕生しています。
 
「ガイディング・スターズ
(Guiding Stars)」
という企業です。
 
2007年にスタートし、
急成長を続けています。
 
この企業は
食品の点数化を
数字で表示するのではなく
 
 ☆(星)の数
 
でシンプルに表示するのを
特徴としており、
 
そのシンプルさが受けて
多くのスーパーマーケットを
クライアントにしています
 
買物客からすれば、
 
 ☆(星1つ)
 ☆☆(星2つ)
 ☆☆☆(星3つ)
 
という、☆の数だけで
体に良い食品・悪い食品を
見分けられるのですから
大助かりです。
 
 ▽
 
しかし、
政府機関や学会なら
いざ知らず、
 
ガイディング・スターズは
民間企業ですから、
食品に点数をつける業務は
無料ではありません。
 
有料になります。
 
金額は分かりませんが、
安くはないでしょう。
 
ではなぜ、
多くのスーパーマーケットが
ガイディング・スターズに
安くない金額を払ってまで
店頭に並んだ食品の
点数化をするのでしょうか。
 
答はこうです。
 
点数化をすることにより
 
 点数の高い商品の
 売上は上がる
 (=プラスの作用)
 
 点数の低い商品の
 売上は落ちる
 (=マイナスの作用)
 
このプラス・マイナスを
合算すると
全体で売上がプラスになる。
 
ガイディング・スターズの
統計によれば、
全体で15パーセントの
プラスになるそうです。
 
トータルの売上が
15パーセントも
上がるのであれば、
費用を払ってでも
点数化するでしょうね。
 
 ▽
 
考えてみれば日本だって
 
* ブランド米
* ブランド果物
* ブランド肉
 
などは、
「等級をつけて」
販売されています。
 
等級の高いものは
値段が上がり、
 
等級の低いものは
値段が下がる。
 
しかし
それをおしなべてみると
「等級をつけずに
 未仕分けの雑多な状態で
 一律の価格で販売する」
よりも、
平均単価が高くなる。
 
だから等級をつける
というわけです。
 
米や果物や肉の等級では
「形」「大きさ」「色」
などの「見た目」が重視
されているのに対し、
 
アメリカでの
食品の点数表示は
「栄養」「安全性」
を重視している点が
異なりますが、
 
平均単価を上げる
という意味では
本質的に同じ原理です。
 
 
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 日本ビジネスモデル
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