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事業承継のすすめ

第9回 種類株式で支配権集中

|2015年11月20日(金)

~ 所有と経営分離し紛争防止 ~

►MBO(Management Buy-out)とEBO(Employee Buy-out)の違いteoria-a015.gif 
 親族以外への承継は、オーナー経営者またはその親族から会社の株式を買い取ることになります。特に、業績が良く内部留保が大きな企業や、含み益のある資産を保有している企業などは、自社株式が高額になり、買い取りが困難になってしまいます。そこで、MBOやEBOが考えられます。

 MBOとは、現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として、対象会社の株式を購入することです。後継者となる役員が、企業や一部の事業部門を買収して独立することで、企業の合併・買収(M&A)する手法の一つです。
 
 EBOは役員ではなく従業員が後継者となる場合です。
 
►役員や従業員が会社を買収
 後継者となる役員や従業員は、企業を購入できるだけの資金を持っていません。そこで、資金を金融機関や投資ファンドを通じて調達することになります。
 この、資金調達を支援する方法として、企業自身の財産や将来性を担保として出資を受けるという意味においてLBO(Leveraged Buy-out)もあります。事業承継を支援するファンドは、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業成長支援ファンド」があります。
 
►争族の回避と経営権の安定
 ほとんどの中小企業は同族会社です。同族会社の経営権の維持・安定には、後継者が経営権と支配権を保有することが必要です。そのためには、後継者へ経営権の確保を意味する「自社株式(議決権)」の承継が重要です。少なくとも過半数以上、できれば3分の2以上の議決権を後継者に集中させたいものです。
 そこで、普通株式の一部を種類株式に変更することにより「争族」の回避が可能となります。つまり、所有と経営の分離を図り、紛争を防止するものです。
 
 種類株式とは、普通の株式とは違い、定款で定める目的をもった株式で、権限の内容が異なります。新会社法では9種類を規定しています。
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  ①剰余金の配当に関する株式
  ②残余財産の分配に関する株式
  ③議決権制限株式
  ④譲渡制限株式
  ⑤取得請求権付株式
  ⑥取得条項付株式
  ⑦全部取得条項付株式
  ⑧拒否権付株式
  ⑨取締役・監査役選任権付株式
 
 中小企業庁の実態調査によれば、種類株式のうち活用されている上位3つは「議決権制限株式」「拒否権付株式(黄金株)」「一部の株式のみ譲渡制限株式」となっています。導入に当たっては、種類株式を複数組み合わせる例が多く見られます。
 
►種類株式の活用事例
 株主や経営幹部、後継者の兄弟・親族と経営を巡り対立し「争族」に発展することが予想される場合があります。この事態を回避するために、種類株式を活用して後継者に議決権を集中させる事例をご紹介します。
 
 まず、株主全員に「議決権制限株式(議決権を持たない株式)」の無償割当てを行います。次に「遺言書」を作成します。遺言の内容は、総資産と遺留分を考慮し「普通株式」を後継者に、後継者

teoria-b003.gif以外の相続人には「議決権制限株式」を相続させます。これで、議決権を後継者に集中させることができます。

 なお、その「議決権制限株式」には「配当優先」や「取得請求権」などの内容を付することで、経済的メリットだけではなく、持株を現金化できるメリットも与えます。それによって、株主の理解も得られやすくなるでしょう。
 

info02 第10回 代表取締役不在を回避
    明日 11月21日(土) 更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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