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事業承継のすすめ

第35回 財産移転選択肢は2つ

|2017年02月17日(金)

~ 相続時精算課税と暦年贈与 ~

►相続時精算課税制度
teoria-a025.gif  この制度は、生前に贈与した財産を相続の時に精算する制度です。
相続時精算課税制度と従来の贈与税課税方式(暦年贈与)のどちらを利用するかは、納税者が選択することになります。

この制度の概要は次の通りです。
  ①同一人からの贈与合計額が、生涯2,500万円まで、贈与税がかからない
  ②特別控除の2,500万円を超えた部分について「一律20%」が課税される
  ③相続時精算課税制度を選択した時の相続税額の計算
    (相続財産+贈与財産)×相続税率-納めた贈与税=相続税額
  ④相続税の課税対象にならなかった場合は、生前贈与時に支払った贈与税が還付される

この制度を利用するための要件は次の通りです。
  ①贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税選択届出書」を
   税務署長に提出する
  ②この制度を利用できる対象者は、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の推定相続人
   または孫に限られる
  ③年齢要件は、贈与年の1月1日現在の年齢となる。住宅資金贈与の場合は、親の年齢は
   不問となる

第35回 表1.gif

 この制度を選択した場合は、選択したその時から継続適用することになります。teoria-a016.gif
相続が発生した時には、贈与財産額を相続財産に加算して相続税を計算します。
この時に加算する額は相続の時の額ではなく、贈与した時点の額になります。
 これらの要件から、必ずしも相続税を安くする対策にはならないことが分かります。

遺留分の対策必須
 相続時精算課税制度を利用して、株式を後継者に贈与する時の注意点があります。
 例えば、贈与時の評価額が2億円の株式を、この制度を利用して後継者に贈与し、後継者が経営権も株式も得たとします。後継者が商品開発や経営に努力し、業績が上がり株価が5億円まで上昇しました。この時に先代経営者が亡くなり相続が発生した場合、財産は2億円の評価で、その他の相続財産と合算されます。これは大きな節税となります。

teoria-b002.gif  しかし、後継者以外の法定相続人が受け取った財産が遺留分を侵害している場合
   「相続財産の分割が不平等だ」といって、遺留分の減殺請求を申し出た場合に問題が
  あります。この場合、遺留分の計算はこの制度を利用した時点の2億円の評価では
  なく、先代経営者が亡くなった時点の5億円となり、他の相続財産と合算した額が
  対象となります。

 自社株の承継では、遺留分の対策が必要となるケースがでてきます。

「暦年贈与」との違い
 2つの贈与方法を選択する場合の基本として、相続税がかかる場合は、暦年贈与により節税を行った方が良いでしょう。

第35回 表2.gif

 しかし、多額の財産を早い時期に移転したい場合は、相続時精算課税制度を利用することも検討したいところです。

第35回 表3.gif


info02 第36回
 3月3日(金)更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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