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事業承継のすすめ

第36回 配偶者の税額軽減利用

|2017年03月03日(金)

~ 二次相続まで配慮して実行 ~

10ヵ月以内に申告を
 配偶者が相続で経営者の財産を承継した場合に「相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)」を利用することで、支払う相続税の総額がかなり少なくなります。配偶者控除とは、故人の配偶者が相続や遺贈により取得した財産のうち、次の額までは相続税がかからないという制度です。

①1億6,000万円
②配偶者の法定相続分相当額

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 この「相続税の配偶者控除」を利用する場合、控除後に納める相続税額が0でも、亡くなった日から10ヵ月以内に申告をする必要があります。
 遺産分割でもめてしまい、期限までに分割ができなければ、法定相続分で取得したものとして相続税の申告を行い、その金額で相続税を納めます。この場合は、相続税の配偶者控除は適用できません。

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 この特例を利用するつもりで納税資金を準備している場合は、もめないように遺言書を作成しておきましょう。ただし、相続税の申告期限までに所轄の税務署長宛に、遺産分割ができない理由を届出して了解を得れば、3年間以内なら後になっても、この税額軽減を利用することができます。
 

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 配偶者にはもう一つ特例の控除があります。それは「贈与税の配偶者控除」です。この控除を利用すれば、相続開始前3年以内の贈与でも、相続財産に加算することなく、贈与税もかからずに財産を配偶者に移転することができます。
 ただし、この贈与税の配偶者控除は、配偶者が生活するための不動産または不動産を取得するためのお金を贈与する場合に限られます。

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 この特例は2,000万円までで、基礎控除額の110万円と合わせれば、
最高2,110万円まで無税となります。

「贈与税の配偶者控除」を相続税対策に利用する場合は、夫婦それぞれの持っている財産から相続税を試算し実行して下さい。
「相続税の配偶者控除」を利用する場合は、配偶者の持っている財産と、控除を利用して相続した
財産を合算して、二次相続の税額を試算します。

いずれも二次相続まで配慮して節税できるように贈与・分割することがポイントです。

役員退職金の効果
 経営者の退任に対して役員退職金を支出すると大きな効果が期待されます。
teoria-a038.png 経営者の勤続年数が長期の場合に、多額の役員退職金が法人の損金として認められます。さらに、内部留保の多い企業であれば、役員退職金の支給で内部留保が減少します。
 その結果、自社株評価が減少するため、自社株式を売買または贈与により後継者への移転が容易になります。さらに相続税対策にもなります。

 役員退職金の計算方式は、次の方法があります。
    ① 平均功績倍率法
    ② 最高値功績倍率法
    ③1年当たりの平均額法

ほとんどの場合、①を活用しているようです。

 経営者が非常勤役員などになり、分掌変更により報酬額が50%以上減少した場合には、退職と同様に支給される退職給与を損金として取り扱うことができます。しかし、形式上は非常勤役員でも、実質的に経営者としての地位を持っている場合は、臨時的な給与として損金不算入となります。

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 中小企業の場合に、後継者に承継した後でも、前経営者が主要な経営地位を手放さない場合は、退職金支給額が損金として否認される場合があります。承継後の口出しは、ほどほどにしなければなりません。

info02 第37回
 3月17日(金)更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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