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事業承継のすすめ

第41回 相続発端に乗っ取りも

|2017年06月02日(金)

~ 定款の売渡請求規定に注意 ~

分散株は買い取る
teoria-a024.png  自社株式に譲渡制限を付けていても、株式が分散することがあります。
 例えば相続の時に、相続税の節税や民主主義的平等の下に、後継者以外が株式を取得する場合があります。その取得した者が亡くなり相続がまた起こった時に、次の相続人が株主となります。このようにして、株式が分散する可能性があります。

 会社の登記簿や定款を確認すれば分かりますが、ほとんどの中小企業の場合は、株式譲渡に対し「取締役会(株主総会)の承認を要する制限」をしています。これが譲渡制限です。

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この制限は売買や贈与による契約で取得した株主に対して拒否することができます。
しかし、相続や合併など法律上で発生する権利の引き継ぎで取得した株主は、対象となりません。したがって、会社にとって不都合な人物でも、相続で引き継いだ以上その人を株主として扱うことになります。

 分散した株式を取り戻す方法は、買い取ることです。具体的な方法は次の3つがあります。

① 相続人と合意の上で株式を買い取るteoria-h004.png
  買取先は、会社または経営者と関係する第三者となります。
  会社が買い取る場合は、株主総会の決議が必要となりますが、売主追加請求権は
  ありません。経営者と関係する第三者が買い取る場合には取締役会の決議が必要
  となります。

② 会社が売渡希望の株主から、自己株式を取得する方法で買い取る
teoria-k004.gif会社が買取期間と株数の上限を決定し、株主総会で承認を得ます。承認された範囲内での買取条件を株主に通知して申し出のあった株主から買い取る方法です。
一定の資金が必要となります。

③ 定款変更し、現株主の相続の時に、その相続人から強制的に買い取る(売渡請求)
 定款に「株主に相続があった時に、株主総会の議決を持って株式を買い取ることができる」と規定しておけば、株式の所有者に相続が起こった時に、株主総会で決定し、相続人から強制的に株式を買い取ることができます。ただし、会社がその株主に相続があったことを知った日から1年以内に請求しなければなりません。

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 ①と③は、株式の所有者と買取価格を協議の上決定します。
②は買取価格を指定して、株主から買い取ります。買取価格は、その後の相場となってしまうこともありますので、慎重に検討した上で交渉すべきです。

►議決権行使できず
 売渡請求を定款で規定した場合に、相続に端を発した「乗っ取り」に注意が必要です。
 例えば、自社株式を経営者と経営者夫人、専務と常務の4人が持ち、割合はそれぞれ51%、17%、17%、15%とします。経営者と経営者夫人の株式を合わせると68%となり3分の2以上となりますので、会社の重要な決議は夫婦だけで行うことができます。

 このような所有割合の状態で、経営者が亡くなった場合、経営者が持っていた株式は、相続人である夫人とその子に相続されます。この場合でも、経営者一族の所有割合は68%のままです。

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 しかし、中小企業(非公開会社)が定款で「相続人に対する株式の売渡請求」
規定してあれば、乗っ取りが可能となってしまいます。
 相続人に対する株式の売渡請求の決定について、相続人は議決権を行使することができません。言い換えれば、株式を一番保有していても、議決に参加することができないのです。


info02  第42回
 6月12日(金)更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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