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事業承継のすすめ

第45回 "属人的株式"の活用を

|2017年08月04日(金)

~ 株主ごとに異なる権利設定 ~

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►非公開会社限定で
 会社法は、非公開会社に限り、株主ごとに権利内容の異なる株式の発行を認めています。これを「属人的株式」といいます。
 この株式は、剰余金の配当・残余財産の分配・株主総会における議決権に関して、その持ち株数にかかわらず株主ごとに異なる取り扱いができます。
 種類株式は、特定の株式に個性を持たせているのに対し、属人的株式は個人株主や、役職等の地位・株主の状況等に対して個性を持たせることができます。

 例えば議決権に関して、A株主が5株、B株主が50株の株式を所有している場合、B株主の方が多い議決権を持っています。そこで「属人的株式」を活用しA株主には1株につき50個の議決権、B株主には1株につき1個の議決権と定めた場合、A株主は250の議決権、B株主は50の議決権を持つことになります。

  所有株式数 定める議決権 所有する議決権
  A株主      5株   1株につき  50の議決権     250議決権
  B株主    50株   1株につき    1の議決権       50議決権

 

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 また、「代表取締役の所有する株式が、すべての議決権を有する」とすれば、
代表取締役だけが議決権を持ちます。
 このように属人的株式は「人」に属する株式です。このように定款に規定しておけば、代表取締役となった後継者が持つ株式が 50%でも 10%でも、その後継者が代表取締役であれば、全議決権を持つことになります。

 この株式は事業承継以外に、資金調達、危機管理などにもその可能性が期待されています。

定款へ定めを規定
 属人的株式のメリットは登記が必要ないので、登記事項証明書にその旨が記載されていないことです。この点は種類株式との大きな違いといえます。したがって、金融機関や取引先などに、登記事項証明書を見られても、第三者に属人的株式の定めを知られることはありません。もちろん登記に必要な登録免許税などの費用もかかりません。

この二つの株式の違いは表1の通りです。

第45回 表1.gif

 新会社法により、種類株式の制度の認識が高まり、活用され始めています。事業承継対策において、株式ごとに違う決まりを定めたいと考えた場合「種類株式の発行手続」をすぐに思い浮かべるかもしれません。しかし、定款に属人的株式の定めを規定するだけで、対策の目的が達成できる場合もあります。
 組み合わせによる活用もできますので、専門家に相談してみるのも良いでしょう。



ozigi.JPG【最終回ご挨拶】

 さて、2015年7月から2年にわたり連載してまいりました
  「事業承継のすすめ」ですが、今回で最終回を迎えました。
 最後までお読み下さり、ありがとうございます。何か一つでもあなたの心に
 残る部分があれば嬉しく思います。

  10月から新連載「社長さん儲かりまっか?」がスタートします。
 他業界における勝ち組ビジネスモデル、戦わずして勝つ経営参謀の兵法。コミュニケーションと人材育成など、事例を用いながら執筆させていただきます。
 
 こちらもどうぞお楽しみに。

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