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短期前払費用の特例について

投稿者:柏樹 正一倶知安

|2018年05月28日(月)

                           税理士 柏樹 正一のコラム(第26回)

 前払費用とは、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいい、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金に算入します。

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 なお、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける短期前払費用については、一定の要件を満たせば、重要性の乏しい取引に関し簡便な経理処理を認めるという企業会計の重要性の原則の考え方に立って、期間対応による繰延経理をせずに、特例的に支払時点で損金に算入することが認められています。

 この特例が適用できるのは、地代家賃、保険料、信用保証料、リース料、借入金利息などの経費で、①契約に基づいて継続的に等質等量のサービスを受けるために支出したものであること、②支払った事業年度に役務の提供が開始していること、③支払った日から1年以内に提供を受ける役務であること、④翌期以降に時の経過に応じて費用化されるものであること、⑤当該経理処理を継続適用することが要件となっています。

 従いまして、1年超の前払費用を支払った場合や短期の前払で支払ったとしても税理士・弁護士の顧問料など等質等量のサービスの提供を受けたとはいえないものは対象となりません。

 また、例えば、借入金を預金、有価証券等に運用する場合の借入金利息のように収益の計上と対応させる必要があるものについても対象となりません。

 短期前払費用の特例は、決算期における節税対策としての効果はありますが、その効果は初年度に限定されることや資金流失という側面もありますので、それらを含めて採否を検討すべきでしょう。

                         札幌事務所 副所長 税理士 柏樹 正一

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