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電子取引制度(電子データ保存)の時限的緩和

投稿者:柏樹 正一倶知安

|2022年01月24日(月)

税理士 柏樹 正一のコラム(第55回)

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 令和4年1月1日に施行された改正電子帳簿保存法は、「電子帳簿等保存制度」、「スキャナ保存制度」、「電子取引制度」の3つに区分され、電子帳簿等保存制度はパソコンで自己が作成した帳簿書類等を電子保存の対象とするもの、スキャナ保存制度と電子取引制度は取引で生ずる請求書や領収書等の取引情報を電子保存の対象とするもので、スキャナ保存制度は、一定の要件の下で書面ではなくスキャナで保存ができるという任意の取扱いですが、電子取引制度は、同日以後、取引情報の授受を電子データによって行った場合、書面で保存することを廃止し、一定の要件を満たした電子データで保存することを義務付けたものです。

 ただ、電子取引制度(電子データ保存)については、システム対応等の移行準備が整わない事業者もいること等に配慮して、令和4年度の税制改正大綱において、令和5年12月31日までの2年間は、①電子データで保存することができないことについてやむを得ない事情があると認められ、➁税務調査で書面の提示又は提出の求めに応じられるよう適切に保存していれば、引き続き電子取引を紙で保存することができるという措置が講じられました。

 なお、この緩和措置はあくまでも時限的なもので、適用開始日以後、取引先からメール等で取引情報を受け取った場合、基本的に電子データで保存することが求められていることに変わりありませんので、真実性や可視性という保存要件を満たすため、例えば、①電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定を定め、➁エクセル等により検索機能(取引年月日、取引金額、取引先の3項目)を満たす受領データの索引簿を作成してデータを記録・管理するなどの対応をしていく必要があるでしょう。

 

倶知安事務所 所長 税理士 柏樹 正一

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