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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」 (第12回)

【連載】事業承継入門|2013年08月01日(木)

  14.生前贈与による承継のメリットは何ですか?

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 1 ► 現経営者と後継者の判断で実行可能
 2 ► 後継者の地位が安定
 3 ► 長期的な計画で節税する


     現経営者と後継者の判断で実行可能
 民法では、贈与について「当事者の一方が自己の財産を、無償で相手方に与える意思表示をして、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる契約である」と定めています。したがって、生前贈与は、贈与契約者同士の合意で財産の移転ができます。
 
企業の永続と繁栄に必要な次の点に、生前贈与は適しています。
 ① 後継者に確実に事業用資産および、経営権を引き継ぐことができる
 ② スピーディーかつ円滑な実行が可能

       後継者の地位が安定
 生前に、現経営者が所有する事業用資産および、自社株式を引き継ぐことで、企業の経営に影響力を持つことができます。また、後継者候補となる兄弟姉妹が複数いる場合には、現経営者の財産を後継者に集中させることで、争いの種となります。
 しかし、現経営者が決定した後継者として、周囲からの理解も得やすくなります。さらに、後継者以外の法定相続人への相続分のバランスも、相続後に比べ調整しやすくなります。

       長期的な計画で節税する
 相続税も贈与税(暦年課税制度)も、超過累進課税といい課税される財産が多くなれば、それだけ税率も高くなります。

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 早期に事業承継の準備を始めることで、後継者に長期にわたり事業用資産や経営権(自社株式)の財産を分割で移転することができます。その結果、贈与税の節税が図れます。
 また、株価が低くなったタイミングで、生前贈与するなどの節税も可能です。 

生前贈与による事業承継には、次の3つの注意点があります。

一度実行すると撤回できない
 たとえば、長男を後継者として生前贈与を実行した後に、やっぱり次男の方が後継者に適していると思っても、いったん長男に生前贈与した財産を、次男に譲渡することはできません。生前贈与による事業承継を、実行する場合には「後継者はお前しかいない」という決定と覚悟が必要です。

遺留分による制約
 法定相続人には遺言書で相続が行われる場合に限り「遺留分」という最低限相続財産を受取ることができる権利を持っています。生前贈与で、この「遺留分」を侵害する、事業用資産および自社株式を承継した場合に、他の法定相続人から減殺請求を受ける可能性があります。

贈与税がかかる
 暦年課税によって生前贈与をした場合には、一般的には相続税よりも高額な贈与税が課されます。生前贈与には、暦年課税制度と相続時精算課税制度があります。双方の税負担を比較して、有利となる制度を判断して選択してください。

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info02 次回タイトル
 【売買による承継のメリットは何ですか?】
          H25.8.15更新予定です。どうぞお楽しみに!

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