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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第18回)

【連載】事業承継入門|2013年11月01日(金)

20.MBO、EBOの特徴を教えてください

flair POINT

 1 ► MBO・EBOとは
 2 ► MBOのメリット・デメリット
 3 ► 信頼できる経営陣の有無で成功が左右される

 
     MBO・EBOとは
 
役員や従業員、外部の取引先企業や金融機関などの人材を後継者とする場合に、現経営者や親族が保有している株式を、買い取らなければなりません。
 しかし、社歴が長く、優良な財務体質の企業は、自社株の評価がかなり高くなっている可能性があります。サラリーマンである後継者候補の自己資金だけでは、株式を買い取る資力がないのが一般的でしょう。
 そこで、MBO(Management Buy-Out)という投資家として、その買収資金を拠出してくれる手法が考えられます。

 MBOは、現経営者が後継者となる経営陣(マネジメント)とMBOファンドへ経営を引き継いでもらうことで、円滑に引退できるようになります。

teoria-g-b006.png MBOは、経営陣とMBOファンド、金融機関からの融資を原資とし、現経営者と親族の保有する自社株を買取ります。経営陣とMBOファンドで企業価値を高め、将来ファンドは株式公開や売却で資金を回収します。


EBO(Employee Buy-Out)とは、従業員が現経営者から株式を取得して
経営権を取得することです。

     MBOのメリットとデメリット
 
現経営者のメリットとデメリットは、次になります。teoria-a028.png

【メリット】
 ① 事業承継を円滑に進められる
 ② 引退後の資金確保(創業者利潤)ができる
 ③ 従業員の雇用を継続できる

【デメリット】
 ① 事業承継問題に対応できる、MBOファンドの数自体が限られている
 ② 通常のM&Aより、オーナーの手取り額が低くなる可能性がある

企業を承継する経営陣(後継者)のメリットとデメリットは次になります。

【メリット】
 ① 少ない手許資金で、会社の経営権を取得できる
 ② 一定の自社株式を取得することで、経営権の支配力が拡大しモチベーションが高まる
 ③ 自社株式を保有することで、キャピタルゲインを獲得できる可能性が生まれる
 ④ 信用やブランドなども承継できる

【デメリット】
 ① MBOファンドから経営の監視を受ける
 ② MBOファンドは、一定期間に株式公開ができないと判断した場合に、投下資本回収のため
   企業を売却する可能性がある
 ③ 買収価額が高額の場合に、過大な負債を抱える

     信頼できる経営陣の有無で成功が左右される
 
信頼でき、事業承継意欲が強い人材を、後継者候補として社内または社外から選定することが重要となります。MBOファンドは、金融投資家のため、金融のプロではありますが、事業経営に対してはノウハウを有していないことが一般的です。
 そこで、経営陣(後継者)に信頼できる経営ノウハウがあるかどうか重視されることになります。

 さらに、事業内容の市場に対する、安定性の有無も重視されます。


【事業譲渡方式MBO】
 syoukei-18.gif


info02 次回タイトル
 【経営権だけを承継する方法はありますか?】
      H25.11.15更新予定です。どうぞお楽しみに!

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