中野会計事務所トップページ >> なかの語録 >> 100年企業をめざす「事業の承継」(第19回)

なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第19回)

【連載】事業承継入門|2013年11月15日(金)

21.経営権だけを承継する方法はありますか?

flair POINT

 1 ► 財産権と経営権を分離
 2 ► 種類株式の活用


     財産権と経営権を分離
 
財産権は、株式など財産価値として高額になります。そこで、MBOを活用した承継が難しい場合に、高額な自社株式の価額を下げる方法として、経営権と財産権を分離させ、経営権だけを承継させる方法があります。 


【財産権と経営権の分離と保有】
syoukei-19.gif


     種類株式の活用
 
種類株式とは、定款で定める目的を持った株式で、新会社法で非公開の中小企業に認めているのは、次の9つです。

①剰余金配当優先株式 有利な条件で配当を受ける
②残余財産分配優先株式 企業精算する時に財産の分配を受ける
③議決権制限株式 議決権を行使できない株式(全部または一部)
④譲渡制限株式 株式の譲渡には会社の承認が必要
⑤取得請求権付株式 株式の取得を会社へ請求することができる
⑥取得条項付株式 一定条件を満たせば会社が株式を取得できる
⑦全部取得条項付株式 株主総会の特別決議で会社が株式をすべて取得できる
⑧拒否権付株式 特定の決議事項に対し拒否権を与えた株式。黄金株
⑨取締役・監査役選任権付株式 この種類株式を持つ株主から取締役や監査役を選ぶことができる

 
大切なことは、株式の買取資金が乏しい後継者が、経営権を維持できる株式を取得することです。たとえば、次のような活用ができます。teoria-h28.png

議決権制限株式
 
議決権のある普通株式を、後継者に取得させて経営権を集中します。
 議決権制限株式を後継者以外の親族に相続させて財産を残します。

拒否権付種類株式(黄金株)
 
拒否権付株式を発行して、重要事項についての拒否権を現経営者が保持します。
 後継者には、株式の大部分を譲渡します。

 このような方法で「経営権」と「財産権」を分離することで、後継者が株式を取得しやすくなります。ただし、経営権と財産権が分離することで、経営陣と株主との間で対立することも考えられます。専門家に相談しながら、慎重に検討しましょう。


info02 次回タイトル
 【従業員などへ中継ぎ承継する方法はありますか?】
          H25.12.1更新予定です。どうぞお楽しみに! 

  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加