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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第38回)

【連載】事業承継入門|2014年09月01日(月)

39.粉飾決算はどうやって処理したらいいですか?

flair POINT

 1 ► 粉飾決算は、承継前に解決する
 2 ► 納めすぎた税金を取り戻せる期限
 3 ► 粉飾決算を正常化

◎ ———— 粉飾決算は、承継前に解決するteoria-k001.gif 
 中小企業では、次の理由などにより、赤字であっても財務状況を良く見せ、
粉飾決算をしている企業があります。

    ● 金融機関から良い条件で融資を受けるため
    ● 建設業許可を取得するため

  少しでも税金を少なくするために、粉飾決算をしている企業もあり、これを逆粉飾決算といいます。逆粉飾決算は、税務申告の虚偽に対して、税金のペナルティがあります。
 

 粉飾決算が発覚したら、直ちに事実確認を行わなければなりません。「いつから」「金額はいくらか」を正確に確認します。さらに、粉飾決算がなかった場合の、財務状況も把握してください。

———— 納めすぎた税金を取り戻せる期限
 本来赤字を粉飾決算で良く見せて、法人税を過大に納めることになります。この場合は、通常の過大納付と取り扱いが異なります。
teoria-h024.png 
 まず、仮装経理の結果を、前期損益修正損などの特別損益項目で修正し明示します。修正経理を行った決算書に基づき、確定申告書を提出します。 

粉飾決算の場合は、税務申告上は損金とはならず、加算処理が必要になります。減額更正の請求手続きは、原則として法定申告期限から1年以内に限って認められています。

 仮装経理の修正による減額更正の請求の場合には、過大納付した税額がすぐに還付されません。
過大納付額は、最大5年間で分割還付(控除)されます。
 更正請求できる期日は、更正日を含む事業年度開始前5年間の事業年度分になります。

———— 粉飾決算を正常化
 粉飾決算を正常化させるには、次の2段階が必要です。teoria-h023.png
  ① 粉飾を元に戻す
    粉飾を一度に戻すと、莫大な赤字になる企業もあります。
   3年から5年という歳月をかけて正常化するのも方法です。
  ② 経営の立て直し
    正常な経営ならば、粉飾の必要はありません。
    経営を改善し正しい決算で利益を出せる、体質づくりが必要です。
    経営の立て直しは、全社一丸となって取り組まなければなりません。

 正常な経営への改善は、後継者にバトンタッチするための、企業価値向上の第一歩です。


info02 次回タイトル
 【遺言で遺産分割の方法を決めた方が良いですか?】
    H26.9.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!

 

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