中野会計事務所トップページ >> なかの語録 >> 100年企業をめざす「事業の承継」(第43回)

なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第43回)

【連載】事業承継入門|2014年11月15日(土)

44.親族に祝福される事業承継と相続対策を教えてください

flair POINT

 1 ► 財産は法定相続分に分けられない
 2 ► 後継者の親族に対する心がけ


————  財産は法定相続分に分けられない
 ほとんどの中小企業の場合に、経営者の財産は自社株式や、事業で利用している経営者個人所有の不動産があります。そのため、現経営者が亡くなったときに財産を、法定相続人の間で法定相続分通りに分けると、自社株式および事業で利用している不動産やその他の財産が分散してしまいます。

 その結果、後継者が事業に利用できない、金融機関から融資を受けられない、などの可能性があります。企業の力が減少し、本来の力を発揮できない恐れがあります。
 そのような事態を防ぐために、経営者は家族に対して、事業継続の意義や自身の事業に対する想いを伝え理解してもらう必要があります。

———— 後継者の親族に対する心がけ
 現経営者が家族へ理解を求めるだけではなく、後継者自身も親族に比べ多くの財産を承継するのですから、次のような心がけが必要となります。

teoria-a018.gif

事業に対する気力と実力を示す
 両親や兄弟姉妹から見て、後継者が未熟であったり、気力がなければ、安心して事業を任せることはできないでしょう。誰からも「後継者はお前しかいない」といわれる熱意と努力が必要です。

家族に対して感謝の気持ちを示す
   経営者が今まで守り育てた、大切な企業です。後継者はその事業や財産を承継するのです。
 その信頼にこたえ、感謝の気持ちを示すことは当然のことでしょう。
 さらに、後継者として多くの財産を譲り受け、現経営者の力(愛情)も受けながら、事業に勤められるのも、兄弟姉妹が後継者として認めてくれ、暖かく見守ってくれるからです。
 感謝の気持ちを忘れてはいけません。もし、家族に対して感謝の気持ちがなければ、家族の反対により、経営安定に必要な財産を得ることが難しくなる可能性があります。

他の法定相続人に対して遺留分を配慮する
  事業を承継するためとは言え、現経営者の財産を1人で受け継いでは、争いの元になる可能性があります。生命保険や現経営者の退職金などを活用し、遺留分を侵害しない程度の財産を、他の兄弟姉妹に相続できるような配慮が必要です。
「親の財産を独り占めしない」気遣いが、家族全員に承継を快諾してもらう手段の一つになるでしょう。

親孝行をすること
teoria-i008.gif 日本には、かつて家督相続制度がありました。承継した者は、親を大切に扶養することが当たり前の時代です。
 現在では、平等原則となり法定相続制度になっています。しかし、後継者は事業を譲ってくれた両親(経営者とその配偶者)の、その後の生活を支えるなど覚悟が必要でしょう。
 特に、子である後継者が、ほとんどの財産を承継する場合は「自分が亡くなった後は、母親の生活を支え幸せにすることを後継者に望む」という経営者がほとんどです。
両親を大切にし、親孝行することで、他の兄弟姉妹も財産の過多に対して納得してくれるでしょう。


info02 次回タイトル
 【 承継計画を立てるには】
  H26.12.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!

  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加