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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第50回)

【連載】事業承継入門|2015年03月01日(日)

51.事業承継に伴う遺産分割の考え方を教えて

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 1 ► 家族が争わない遺産分割とは
 2 ► 法定相続人と法定相続分
 3 ► 代償分割を検討する


 ———— 家族が争わない遺産分割とは
 経営者が亡くなった後のことを考える場合に、企業の存続も大切です。
そして、もっと大切なことは「家族が争わない」ことです。
 家族が争わないように、後継者や配偶者、そして後継者以外の法定相続人の生活環境や性格、能力などを考慮し、各人にあった遺産分割をできればベストです。
 考慮する主な項目は、次になります。
   ① 配偶者の老後の生活安定
   ② 後継者が経営権を確保できる株式保有
   ③ 後継者へ事業用資産の集中
   ④ 後継者以外の相続人に対する、個人資産の分配
   ⑤ 2次相続を考慮した分割
 また、株式や公社債、賃貸物件などの不動産所得がある場合は、相続人の能力に応じて配分することが必要となります。事業承継に伴う、遺産分割はどうしても後継者に財産が集中してしまいます。そのために、後継者とその他の相続人との間で、受取る財産の差がでてしまいます。

 ———— 法定相続人と法定相続分
 同じ両親から生まれ育った兄弟姉妹の、平等とは何でしょう。民法では、法定相続人と法定相続分について、次のように規定しています。
法定相続人

 配偶者  相続順位はなく、常に相続権がある
 直系卑属(子や孫など)  第1順位 常に相続権がある
 直系尊属(祖父母など)  第2順位 第1順位の相続人がいないときに相続権がある
 兄弟姉妹  第3順位 第1・2順位の相続人がいない時に相続権がある


法定相続分
 相続が発生すると、相続財産は法定相続人の共有財産となります。原則として、法定相続人全員が話し合い、協議により財産の分割を決めることになります。
 しかし、話し合いがつかなければ、家庭裁判所で調停審判することになります。このとき財産分割の基準となるのは、法定相続分です。しかし、遺言書があれば、相続人の間での話し合いよりも、まず遺言を最優先させることとなります。


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 ———— 代償分割を検討する
 遺言書により、財産の分配を指定できますが、全て思い通りにできる訳ではありません。それは、法定相続人が持つ、遺留分という権利があるからです。
120525_image05[1].gif  遺言書を作成するときには、この遺留分を侵害していないかについて念頭におかな
  いと、後々紛争になる可能性があります。
  中小企業経営者が亡くなり、法定相続人の一人が後継者となった場合に、どうして
  も後継者へ財産の分配に偏りができ、遺留分を確保できない場合もあるでしょう。
 その場合は、生命保険を活用した代償分割などが有効的です。つまり、後継者(法定相続人)が財産を受ける代わりに、他の法定相続人に対して相当の金銭や別の資産をその代償として支払います。
 代償分割に充てる財産は、後継者の固有財産となります。この代償分割を支払う資金は、生命保険で準備することができます。
 例えば、後継者を死亡保険金受取人に指定します。そして、後継者は受け取った保険金を、他の相続人に代償分割として支払うことができます。


info02 次回タイトル
 【争いが起きない遺言書の書き方を教えてください】
  H27.3.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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