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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第65回)

【連載】事業承継入門|2015年10月15日(木)

66.事業承継と相続税や贈与税の関係を教えて下さい

flair POINT

 1 ► 事業承継に伴う税金とは
 2 ► 事業承継と相続税や贈与税との関係


 ———— 事業承継に伴う税金とは
 事業承継を実行する際の税負担は、どのような方法で事業承継を行うかにより変わります。税負担を考えずに、事業承継を進めたばかりに、税金を納めることができず、行き詰まることもあります。
 また、税金の負担を抑えることばかりに注力してしまうと、事業承継が円滑に進まないこともあります。事業承継の実行には、早期からの税金対策が欠かせません。

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 事業承継計画の立案には、自社株式の評価額を把握することが基本です。評価額により、納税資金が予想以上に高額となる可能性があります。事業承継に伴う主な税金は、次になります。
 

① 所得税  売買による事業承継。売却した経営者に課税される
② 相続税  相続による事業承継。後継者(法定相続人)に課税される
③ 贈与税  贈与による事業承継。後継者(受贈者)に課税される


 その他、会社分割やM&Aによる事業承継方法の場合は、法人税や法人事業税がかかります。不動産の移動がある場合は、不動産取得税や登録免許税などの課税があります。

 ———— 事業承継と相続税や贈与税との関係
 事業承継の方法は、経営者や後継者の年齢や財産構成、後継者以外の法定相続人を含む、家族構成などの環境により変わります。経営者が10人いれば、10通りの事業承継の方法があります。したがって、Aさんが成功した事業承継対策で、必ずしもBさんが成功するとは限りません。事業承継を円滑に行うためには、相続税や贈与税の対策を早期に着手することが重要です。

 この対策の基本は、次になります。

 1.財産の現状を把握するteoria-k004.gif
   ① 法定相続人の確定
   ② 財産の把握と評価をする
   ③ 相続税額の把握と実効税率の把握

不動産などの財産がある場合は、売却や土地活用の検討を行う良いチャンスでもあります。

 2.相続対策の立案

 【揉めない対策】
   ① 遺言書の作成(公正証書遺言がベスト)
   ② 遺留分への配慮teoria-n012.png
   ③ 生前贈与と遺留分放棄
   ④ 財産の整理

 【節税の対策】
   ① 生前贈与の活用
   ② 相続時精算課税制度の活用
   ③ 配偶者への贈与
   ④ 自社株式の評価の引き下げ
   ⑤ 会社分割など法人再編
   ⑥ 生命保険の活用

 【納税の対策】
   ① 生命保険の活用
teoria-m001.gif    ② 物納や延納の対策
   ③ 同族会社への不動産売却による資金調達

 3.実行
  自社にあった対策が見つかったら、スケジュールを立て実行して下さい。


info02 次回タイトル
【連帯保証債務を相続するときの、注意点を教えて下さい】
  H27.11.1更新予定です。 どうぞお楽しみに!!  

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