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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第77回)

【連載】事業承継入門|2016年04月15日(金)

78.非公開会社だけの優遇規定とは何ですか?

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flair POINT

 1 ► 非公開会社だけに認められた優遇規定
 2 ► 譲渡制限付株式と株券発行会社


 ———— 非公開会社だけに認められた優遇規定
 会社法では、非公開会社だけに認められた、次の優遇規定があります。

発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1以上とする規定の不適用
役員選任権付種類株式の定め
属人的種類株式の定め
議決権制限株式の発行限度総額数の不適用
売主追加請求権を排除した自己株式取得
相続株式の売渡請求
teikan.png 取締役会不設置選択
取締役会設置会社と会計参与設置による監査役不設置選択
取締役の限定株主
役員の任期
計算書の簡略化

 この優遇規定を受けるためには、定款に株式譲渡制限の記載が必要となります。

 ———— 譲渡制限付株式と株券発行会社
 譲渡制限付株式とは、所有する株式を第三者に譲渡しようとする場合に、その株式を発行した株式会社に対して承認の請求を行う、または請求しない場合は、買受人指定請求を行わなければ譲渡できないと定款に定め、登記した株式です。

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 株主は自由に譲渡することができません。しかし、経営者にとっては「意に沿わない株主には、株式保有を拒みたい」「好ましくない者には、経営に参加してほしくない」などを可能にすることができます。この譲渡制限がついていれば、経営者の相続人の中で後継者ともめる可能性がある者がいる場合でも「株式強制売渡請求」ができます。株式の分散も、防ぐことができます。
 また、譲渡制限のついていない株式を発行している企業は「公開会社」とみなされ、非公開会社の優遇規定を受けることができません。

 株式会社は現在の規定では、株券を発行しないことが原則となっています。発行する場合は、定款に株券を発行すると定めた場合に限り、可能になります。
 
 しかし、会社法施行2006年前から事業を行っている企業は、定款に株券を発行しない記載がなければ、株券を発行するという定めがあるものとみなされます。株券発行会社の場合は、株式を譲渡するときに株券の交付が必要になります。

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 また、株主から株券発行を請求されれば、発行しなければなりません。万が一、経営に好ましくない者が株券を取得した場合に、高額買取を請求される可能性も考えられます。したがって、定款変更していない場合は「株券を発行する」という記載を、すぐに削除することをお勧めします。


info02 次回タイトル
 【定款を変える必要はありますか?】
 H28.5.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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