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なかの語録

「うさ子と学ぶ 贈与の基本」出版インタビュー

【連載】事業承継入門|2011年12月01日(木)

Q:昨年12月に出版された「相続の基本」でも少し触れている「贈与」ですが、
  今回は更に掘り下げた内容になっていますね。
  特にどのような点に重点をおいて執筆されたのでしょうか?

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相続は、本人が亡くなってから遺された家族が行うものですが、贈与は本人が生前にできる相続対策です。財産を持っている人が、自分の意志でできるだけ有利に財産を残すことができるのです。

今回は、相続対策のひとつである『生前贈与』について分かりやすい表現を用いて、それぞれの目的に沿った賢い対策手法を中心に解説しました。


付録として、「相続税がかかるか?判断のための試算表」と「相続税額早見表」も付けたので、どなたでもご自分の財産を書き込むと、どの位の相続税がかかるかシミュレーションできる作りにしましたので試してみてほしいです。

Q:自分の資産の相続において、遺言などを準備したり、生前贈与を考えたりしている人は
  依然として少ないように感じます。『相続・贈与』がなかなか浸透しない理由として、
  どんな事が考えられますか?


相続や贈与を積極的にアドバイスしている会計事務所はまだ少ないようです。そのため、どのような対策をしたらいいのかを身近に相談できる場所が少ないのが理由のひとつかもしれません。また、家族で相続について話し合う機会がなかなか無いのが現実のようです。少しでも考えるきっかけになればと思い、この本を書きました。

贈与は、上手に活用することで、家族がゆとりある幸せな生活を手にすることができます。例えば、介護してくれた長男(死亡)の嫁に自宅をあげるため「死因贈与の遺言書」をつくり、相続争いを避けて、嫁の住まいの心配をなくしてあげた例があります。


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私は、遺言やエンディングノートを書き残すことを『日本の文化』にしたいと考えています。言葉で愛や感謝の気持ちを伝えることももちろん大事ですが、更に『生前贈与』を行うことで、より具体的な愛情表現をすることができます。

ただ、ここでひとつ注意していただきたいのが、間違った生前贈与のやり方では、せっかくの贈与が相続争いの原因につながってしまうという事です。『正しい生前贈与』を行ってこそ、本人を含めた家族全員が幸せな未来を過ごせる土台作りとなるのです。

さらに、元気なうちだからこそできる生前贈与は着実に自分の想いを実現でき、さらに贈与を受けた相手の喜んだ顔が見られるのです。また、子供にとっても生きているうちに親のありがたみを感じることができ、感謝の気持ちを伝えることもできます。これは親にとっても子にとっても、何よりも代えがたい宝物となるのではないでしょうか。


Q:「生前贈与」は、いつ頃から準備を始めた方がいいのでしょうか?

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認知症を患ったり、判断能力が衰えてしまってからでは遅いのです。健康で元気な時、さらに1日でも早く準備する事をおすすめします。この本が『幸せな相続』を意識するきっかけになればと思っています。


Q:先生おすすめの遺言の書き方はありますか?

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遺言の方法として、①遺言を開くまでわからない書き方をする、②子供たちの前で公開して遺言を書きのこす方法、があります。遺言は一度書いたらそれで終わりという事ではありません。家族構成の変化や、積極的に介護をしてくれた子供に多く遺したいなど、想いは常に変化するものです。毎年子供たちの前で書き換えるのもいいかもしれませんね。

 


Q:最後に、次回作として、うさこと学ぶシリーズ第3弾「事業承継の基本」を
  執筆予定と伺いましたが、こちらはどのような内容になりますか?


「相続の基本」と「贈与の基本」は『個人の相続』に焦点を当てていますが、今執筆中の「事業承継の基本」は、『会社の相続』に関する内容となります。人の死亡に起因するものではなく、社長の引退にあたって準備することをテーマにしました。

我が子と同じように大切に育ててきた会社や事業・・・その事業を永続させ、更に繁栄させるためのノウハウをお伝えいたしますので、こちらも楽しみにしていただけたらと思います。出版予定日は今年2011年12月6日で、私の満82歳の誕生日です。

 
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