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なかの語録

100年企業をめざす「事業の承継」(第82回)

【連載】事業承継入門|2016年07月01日(金)

83.相続をきっかけに乗っ取られることが、本当にありますか?

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flair POINT

 1 ► 乗っ取りまでのプロセス
 2 ► 乗っ取りを回避する


 ———— 乗っ取りまでのプロセス
 株式の分散防止方法として、譲渡制限をつけます。
 この譲渡制限をつけた企業は、定款を変更しておけば、相続の際の売渡請求を行うことができます。ただし、この売渡請求には財源規制があります。
 経営者自身の相続が発生した場合は、少数株主が経営者保有の株式についての買い取り請求をすることができます。これが乗っ取りに展開します。

 それは、定款で「当社は、当社の株式を相続その他の一般承継により取得したものに対し、当該株式を当社に売渡請求することができる」という譲渡制限をつけた場合は、相続やその他の一般承継があったことを知った日から1年以内に株主総会の特別決議により、株式を相続人などから強制売渡請求を行う事ができるからです。
 また相続人はその議決に関して議決権がありません。相続人以外の既存株主が支配株主となってしまいます。

bomb 乗っ取りが行われるシナリオ

 
 【前提】
 企業Aの株主構成 : 経営者Aさん55%・妻1
5%・専務17%・常務13%

 ※企業Aは非上場会社・Aさんはオーナー経営者
 ※Aさん夫婦には子がいない
 ◎経営者Aさん・その妻の2名で自社株式の70%全体の3分の2以上)を保有
 ◎経営者夫婦のみで、企業活動における重要な決定事項を行うことができる


 ① 上記の状況でAさんが亡くなり相続が発生。Aさん夫婦には子がいないため、
   Aさんの持つ株式は妻が相続し、妻は全体の70%を所有することになった
 ② 専務が株主総会の招集を行った
rouhuhu.jpg ③ 専務が定款の規定に従い、妻に対して株式の買取請求を行う
 ④ 相続人である妻は、議決権を行使することができない
  (妻は売渡請求について賛否を議決することができない)
 ⑤ 専務および常務の持分のみが有効となる
 ⑥ 専務と常務が手を組み、賛成すれば妻の持株を会社が買い取ることになる
   ⑦ 乗っ取り成功

 このようにして、乗っ取りがすすめられます。

 ———— 乗っ取りを回避する
 この少数株主が会社を乗っ取ることを回避する方法として、次が挙げられます。

 ① 生前に経営者の株式を現物出資し、資産保有会社を設立する。資産保有会社は経営者一人株主と
   すれば、少数株主からの売渡請求が起こりません。デメリットとして、現物出資の際に、株式の
   譲渡所得税が生じます。
 ② 定款変更ができる2/3以上の議決権を持っている場合であれば、少数株主から売渡請求を出さ
   れる前に、相続人が株主総会を招集し、定款の売渡請求条項を削除します。
 ③ 生前に経営者が保有する株式を、譲渡制限から外す方法があります。売渡請求は、譲渡制限株
   式のみなので、請求できないことになります。
 ④ 定款変更ができる2/3以上の議決権を持っている場合であれば、経営者の生前に、普通株式を
   完全無議決権株式に転換し、経営者のみ普通株式を有する状態にしておく方法があります。
 ⑤ 定款変更ができる2/3以上の議決権を持っている場合であれば、経営者の生前に、拒否権付種
   類株式を後継者に発行しておく方法があります。
 ⑥ 経営者が生前に、自己が保有する株式をすべて後継者に贈与又は譲渡する方法があります。
   デメリットとして、多額の資金負担が生じる可能性があります。

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 株式分散を防ぐための売渡請求が、乗っ取りに利用されかねず、中小企業が少数株主から乗っ取りを防ぐ方法は、一長一短で万能手段ではありません。
 現状をよく把握し、専門家と相談しながら進めることがいいでしょう。
 


info02 次回タイトル
 【わが社でも、種類株式を活用できますか?】
 H28.7.15更新予定です。 どうぞお楽しみに!

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