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【連載】事業承継入門|2016年09月15日(木)
POINT
1 ► 議決権制限株式の活用の仕方 |
◎ ———— 議決権制限株式の活用の仕方
議決権制限株式とは、会社の経営に参加できる権利に制限のある株式です。
例えば、後継者以外の相続人が持つ株式は「剰余金の分配に関する議決権あり、事業の譲渡に関する議決権なし」というように、株式ごとに議決権の内容を変えることができます。
決議できる事項をゼロにすれば「完全無議決権株式」となり、一部に限り行使できれば「議決権一部制限株式」となります。
事業承継での活用方法として「普通株式」と「完全無議決権株式」を発行します。
後継者への承継時期にこの株式を生前贈与または、後継者に相続させるよう遺言書を残し相続させる方法があります。
非上場株式の場合は、議決権の有無で株式評価は殆ど変わりませんので、後継者以外の法定相続人にこの無議決権株式を相続させれば、後継者が遺留分を主張される心配もなくなります。もちろん、後継者は議決権が保持できますので、経営権を維持することができます。
後継者以外の法定相続人から、経営に参加できないと不満がでるかもしれません。
その対策として、次の2つが挙げられます。
① 無議決権株式を取得請求権付株式にする
② 配当優先株にする
配当優先の無議決権株式の評価は、原則として普通株式と同様に評価します。
(純資産価額方式の場合には配当優先の度合いにかかわらず普通株式と同額評価)
ただし、納税者の選択により、議決権がない点を考慮します。無議決権株式に
ついては、普通株式評価額から5%を評価減することも可能です。
これは、後継者には議決権ありの普通株式を、後継者以外の法定相続人には議決権のない無議決権株式を、相続または遺贈することを想定しているからです。
次回タイトル
【属人的株式の活用方法を教えてください】
H28.10.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!